今回は低血糖症についてご説明します。まずは、低血糖にもいくつか種類があるので、説明します。
低血糖の種類
低血糖には、大きく3つの種類があります。一つ目は糖尿病の人が必要以上にインスリンを打つことによって生じる低血糖。もう一つはインスリノーマと言われる,インスリンを過剰分泌する膵β細胞由来の腫瘍のことです。 最後が、機能性低血糖と言われる状態です。
低血糖と聞くと、摂取する糖が単純に不足しているのではないか。血糖値が低い状態なのだから、単純に糖をたくさん摂ればいいのではないかと考えると思います。 インスリンの副作用として生じる低血糖状態の時に、砂糖を摂るのは救急措置的な対処としては問題ないのですが。機能性低血糖については、普段から糖の摂取減らすことが重要です。 今回は、機能性低血糖について説明していきます。
機能性低血糖症が疑われる症状とは
まず、機能性低血糖症かどうかの判定ですが、自己症状として、食後にひどい眠気がする、動悸がする、仕事ができないほどに身体がだるいといった症状に陥ります。病院に行って診断を受けた場合、問診だけで低血糖症と断定されることは少なく、次に紹介するブドウ糖経口負荷試験(OGTT)と呼ばれる検査を受けることになります。機能性低血糖の3つの種類
低血糖症にも、いくつか種類があります。この種類は正式な名称はありませんが、大きく3つに分類されます。 まずは、機能性低血糖で代表的な反応性低血糖の場合から見ていきましょう。反応性低血糖とは?
食後の血糖値が急激に上がり、その後に急激に血糖値が下がるのが反応性低血糖です。3〜4時間後には空腹時の血糖値の50%程度にまで低下してしまうこともあります。
この様子を時間経過と血糖値の変化のグラフで見てみましょう。
糖代謝が正常かどうかを調べる試験として、ブドウ糖経口負荷試験(OGTT)というものがあります。
検査前、12時間空腹にした上で、75gのブドウ糖の液体を飲んで、5時間後まで一定の間隔で血糖値を測定します。
(30分おきに2時間までしか測らない検査もあるようです)
知り合いに低血糖症でこの試験を受けた方がいるのですが、かなり体に負荷がかかる試験で苦痛だと聞いています。
正常な人の血糖値の時間経過と反応性低血糖の方の血糖値の推移を比較してみます。(あくまで1例です。全員が同じような血糖値の推移となるわけではありません。)
正常な人は、血糖値の上昇が緩やかで、下降も緩やかなのに対し、機能性低血糖の人は、
急激に血糖値が上がり、その後大量にインスリンが放出されて、元の血糖値よりも大幅に低い血糖値にまで低下してしまいます。
この血糖値の上下動が起きる際に、眠気や頭痛、動悸や手足の痺れ、イライラ、焦燥感が起きます。また、血糖値が急激に下がるのに備えて、常に交感神経優位の状態となります。交感神経が優位の状態が続くと、よく眠れなくなったり、抹消の血管を収縮させ、血流が悪くなり慢性的な冷え性になったりします。
これらの原因は、血糖値を上下すると、その調整のためにホルモンが分泌されることと、その際に活性酸素が発生するためです。
血糖値を上げるホルモンには、成長ホルモン、アドレナリン、副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)、副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)、甲状腺ホルモン、グルカゴン、ソマトスタチングルカゴンなどがあります。逆に、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。
血糖値の急上昇・急降下の幅が大きければ大きいほど、ホルモンが大量に放出され、その際に活性酸素も大量に発生します。
乱高下型低血糖症
血糖値が上がったり下がったりを繰り返します。血糖値と同じように感情が乱高下するのがこのタイプの特徴です。無反応性低血糖症
グラフでいうとずっと低血糖が続く状態です。ずっと低血糖で血糖が上がらないため、そもそも腸管から血液中へブドウ糖が吸収できていないと考えられがちですが、ブドウ糖経口負荷試験(OGTT)では、30分おきでしか血糖値の変化をみていないため、血糖値を断続的に測定する機器がないと正確な診断は下せないようです。腸管粘膜の機能が低下し、本来はゆっくり吸収されるべき、糖が食後20分程度で急速に吸収され、その後低血糖が続いていたりする場合も考えられるため、断続的な血糖値を測定したり、腸管粘膜機能の調整も含めて総合的な診療してもらう必要があります。