クランベリーの実
公開日:2024年10月09日
更新日: 2024年10月29日

クランベリーとは?栄養成分から歴史まで

クランベリーは、その鮮やかな赤い色と酸味の強い独特の風味で、多くの人々に親しまれている果実です。

特に北米で広く栽培され、ドライフルーツやジュース、ソースとして私たちの食生活にも深く根付いています。

本記事では、クランベリーの特徴や由来、他のベリー類との違い、さらにはその栄養成分や健康効果、歴史的背景について詳しく解説していきます。健康志向の方や、クランベリーの魅力をさらに深く知りたい方に向けた情報をお届けします。

目次

クランベリーとは?その特徴と由来

クランベリーとは?その特徴と由来

クランベリーは、ツツジ科スノキ属に属する低木に実をつける果実です。この小さな赤い果実は、酸味の強さと独特の風味が特徴で、世界各地で広く利用されています。クランベリーの栽培には特定の環境が必要で、主に酸性の湿地帯や沼地で育ちます。アメリカやカナダなどの冷涼な気候を持つ地域が、クランベリーの主要な産地となっています。

名前の由来

クランベリーの名前は「鶴(crane)」と「ベリー(berry)」が由来です。クランベリーの花が開く前の茎や萼(がく)、花弁が鶴の首、頭、くちばしに似ていることから、「クレインベリー(Craneberry)」と呼ばれ、これが短縮されて「クランベリー」という名称になったとされています。見た目だけでなく、鶴が好む湿地帯で育つことも、この名前の背景にあるかもしれません。

栽培環境と特徴

クランベリーは湿地や酸性の土壌でよく育つ植物です。日本ではブルーベリーの栽培が普及しているのに対し、クランベリーは主に北米などの湿潤な地域で栽培されています。ブルーベリーのように乾燥した土壌ではうまく育たないため、クランベリーが日本で栽培されているのを見ることはほとんどありません。また、クランベリーは秋になると鮮やかな赤い色に変わり、その色合いが料理や飲み物に華やかさを添えます。

クランベリーの収穫方法も独特で、「水収穫」と呼ばれる方法が一般的です。果実が熟し、水に浮く性質を利用して、湿地や水田のような畑で水を張り、果実を収穫します。この方法は、収穫の効率を高めるとともに、クランベリーの品質を保持するための重要な手段です。

クランベリーと他のベリー類との違い

クランベリーと他のベリー類との違い

クランベリーは、ブルーベリーやラズベリーなどと共に「ベリー類」に分類されますが、それぞれの植物は異なる科や属に属しており、その生態や栄養成分にも違いがあります。ここでは、クランベリーと他の代表的なベリー類であるブルーベリー、ラズベリーとの違いを見ていきましょう。

クランベリーとブルーベリー

クランベリーとブルーベリーはどちらもツツジ科スノキ属に属しており、似たような特徴を持つものの、生育環境や風味、栄養素にいくつかの違いがあります。

  • 生育環境の違い:ブルーベリーは乾燥した土壌でもよく育ち、日本国内でも栽培が広く行われています。これに対し、クランベリーは湿地や酸性土壌を好むため、日本ではほとんど栽培されていません。特に北米の冷涼な湿地がクランベリーの主な生育地となっています。
  • 風味の違い:ブルーベリーは甘みと酸味のバランスが良く、そのまま生で食べることが多い果実です。一方、クランベリーは非常に酸味が強く、甘味が少ないため、生のままではあまり食べられず、加工品として消費されることが一般的です。

クランベリーとラズベリー

ラズベリーはバラ科キイチゴ属に属しており、クランベリーとは異なる植物です。

  • 見た目と風味の違い:ラズベリーは赤や黒の小さな果実で、甘酸っぱい風味が特徴です。クランベリーと比較すると甘味が強く、そのままスナックやデザートに使われることが多いです。一方、クランベリーは加工されることが多く、特にドライフルーツやジュース、ジャムとして利用されます。
  • 用途の違い:ラズベリーはフレッシュなままでも、スムージーやサラダのトッピングなどに使われますが、クランベリーはその酸味の強さから加工品として利用されることが主流です。ドライフルーツやソース、ジュースとしての利用が多く、特にクリスマスや感謝祭の料理に使われることが多いです。

クランベリーの栄養成分と健康効果

クランベリーの栄養成分と健康効果

クランベリーは、その独特の風味だけでなく、栄養成分の豊富さからも注目されています。抗酸化作用を持つポリフェノール類や、ビタミンC、食物繊維が豊富に含まれており、健康効果が期待されています。ここでは、クランベリーに含まれる主な栄養成分と、それらがもたらす健康効果について詳しく見ていきましょう。

ビタミンC

クランベリーはビタミンCが豊富に含まれており、これにより抗酸化作用が期待できます。ビタミンCは体内でコラーゲンの生成をサポートし、肌の健康維持や免疫機能の向上に貢献します。また、フリーラジカルから細胞を保護する抗酸化作用を持ち、老化防止や病気予防に役立つとされています。

ポリフェノール

クランベリーには、多くのベリー類と同様にポリフェノールが豊富に含まれています。特に「プロアントシアニジン」と呼ばれるポリフェノールは、抗酸化作用が強く、心血管疾患やガンの予防に寄与するとされています。また、ポリフェノールは抗炎症作用を持ち、慢性的な炎症が原因となるさまざまな病気を予防する効果も期待されています。

食物繊維

クランベリーには、食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整える効果があります。食物繊維は腸の動きを活発にし、便通を促進するため、消化器系の健康維持に役立ちます。また、血糖値の急上昇を抑える効果もあるため、糖尿病のリスク軽減にも寄与すると考えられています。

ミネラル類

クランベリーには、ミネラル類も豊富に含まれています。特にマンガンは骨の健康を維持するために重要なミネラルであり、クランベリーに含まれるマンガンは、日常の食生活で不足しがちな栄養素を補う助けとなります。また、ナトリウムやカリウムなども含まれており、体内の水分バランスや血圧の調整にも貢献します。

ドライクランベリーの栄養成分と加工の影響

ドライクランベリーの栄養成分と加工の影響

クランベリーはそのままの生の状態では酸味が強いため、加工されることが一般的です。特に、ドライクランベリーはお菓子やパン、シリアルに使われることが多く、私たちの食生活にも馴染み深いものとなっています。しかし、加工の過程で栄養価が変化することがあるため、ドライクランベリーの栄養成分と、加工が与える影響について詳しく見ていきます。

ドライクランベリーの栄養成分

<100g/個当たり栄養成分> 糖質:77.5g、カロリー:308kcal、たんぱく質:0.17g、食物繊維:5.3g、脂質:1.09g、ナトリウム5.0mg

USDA・クランベリードライフルーツ(加糖)のページより引用しています。

このように、ドライクランベリーは糖分が高くなりがちで、市販されているドライクランベリーには、砂糖やりんごジュースが添加されることが一般的です。特に、甘味を補うために砂糖が使われることで、カロリーと糖質が高くなる傾向があります。

加工による影響

1. ビタミンCの減少

クランベリーに豊富に含まれるビタミンCは、水溶性ビタミンであり、熱や光に弱いため、乾燥過程で大幅に減少することがあります。生のクランベリーに比べると、ドライクランベリーではビタミンCの量が著しく少なくなり、抗酸化作用もそれに伴って低下することが予想されます。

2. 食物繊維はほぼ維持される

食物繊維は熱や乾燥に比較的強いため、ドライクランベリーでもしっかりと残ります。ドライフルーツは食物繊維が凝縮されているため、消化を助け、腸内環境を整える効果は維持されます。食物繊維を豊富に摂取したい場合、ドライクランベリーも十分に役立つと言えるでしょう。

3. 糖分の添加によるカロリー増加

ドライクランベリーの多くは、市販品では砂糖やりんごジュースなどが添加され、甘味を補っています。これは、クランベリーが持つ自然な酸味を和らげ、食べやすくするためですが、これにより糖分とカロリーが大幅に増加します。クランベリーに限らず、ベリー系のドライフルーツ全般に言えることですが、自然の状態では糖質が少ないため、ドライフルーツに加工する際には糖が添加されることがほとんどです。したがって、ドライクランベリーを選ぶ際には、成分表を確認し、可能であれば無添加や低糖タイプの製品を選ぶことが望ましいです。しかし、現状の市場では無加糖の製品はほぼ見つからないため、冷凍ベリーを利用するのも一つの方法です。

4. オイルの添加

ドライクランベリーには、乾燥過程でオイルが添加されることがあります。オイルは、ドライフルーツの保存性を高めるためや、ベリーの外皮が乾燥しすぎて硬くなるのを防ぐ目的で使用されます。しかし、これにより脂質が増え、カロリーも上がるため、オイルの添加には注意が必要です。ベリー類のドライフルーツにおいても同様で、糖分やオイルの添加が一般的です。ヘルシーにクランベリーを摂取したい場合、糖とオイルが添加されていない冷凍ベリーを選ぶことが最適ですが、冷凍ベリーは水分を多く含むため、パンやお菓子作りには適さないことが多いです。そのため、冷凍ベリーを使用する際は、用途に合わせた工夫が必要です。

クランベリーにまつわる文化と歴史的背景

クランベリーにまつわる文化と歴史的背景

クランベリーは、特に北米地域で文化的に重要な果実として位置付けられています。古くから利用されてきたクランベリーには、食文化や伝統、さらには薬用効果などさまざまな側面があります。ここでは、クランベリーにまつわる文化と歴史的背景を探ります。

北米先住民とクランベリー

北米先住民とクランベリー

クランベリーの利用は、北米先住民にまでさかのぼります。先住民は「サスカトーン」と呼ばれる保存食を作る際にクランベリーを使用していました。この保存食は、干し肉や脂肪とクランベリーを混ぜて作られ、長期保存が可能な食料として冬を乗り越えるために使われました。また、クランベリーの抗菌作用も利用され、傷の手当てや感染予防のためにも使用されていたと言われています。

感謝祭とクランベリー

クランベリーソースが七面鳥の付け合わせ

クランベリーは、アメリカの感謝祭(サンクスギビングデー)において、伝統的な料理の一部として非常に重要です。感謝祭では、クランベリーソースが七面鳥の付け合わせとして定番となっています。この伝統は、1621年にアメリカで最初の感謝祭が行われた際、先住民が巡礼者にクランベリーを提供したことに由来するとされています。

今日でも、感謝祭にクランベリーは欠かせない食材となっており、特にクランベリーソースは多くの家庭で作られています。甘酸っぱいソースは、七面鳥などの肉料理に爽やかなアクセントを加え、祝祭のテーブルを彩ります。

クランベリーの薬用効果

クランベリーは、長い間、民間療法でも使用されてきました。特に、クランベリーに含まれるプロアントシアニジンには、細菌の付着を防ぐ効果があり、尿路感染症(UTI)の予防に役立つとされています。この効果は、現代の研究でも支持されており、クランベリージュースやサプリメントが膀胱炎や尿路感染症の予防目的で広く使用されています。

また、クランベリーの抗酸化作用が、心血管疾患の予防や免疫機能の向上に役立つことも知られており、健康志向の高い消費者の間でクランベリーはますます注目されています。

クランベリーの商業的利用

北米では、クランベリーは商業的にも重要な作物であり、特にアメリカのウィスコンシン州やマサチューセッツ州で大規模に栽培されています。クランベリーの生産は、水を使った独特な収穫方法で行われ、見た目にも美しい光景が広がります。クランベリーの収穫風景は、地域の観光資源としても活用され、秋になると多くの観光客が訪れます。

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著者プロフィール

フスボンオーナー・川谷洋史

フスボンオーナー

川谷 洋史

HIROSHI KAWATANI

1980年・大阪生まれ

東京工業大学・工学部・建築学科卒

一級建築士


2012年ごろより糖質制限にハマり、低糖質で無添加、良質な脂質、人工甘味料を使用しないパンやスイーツがないことから、自作を始める。

2014年9月にフスボンを立ち上げ現在に至る。


趣味

食べること、スポーツ観戦、サウナ、ゴルフ、YouTubeを観る


マイブーム

糖質制限×サウナ×オーソモレキュラー

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